大量保有報告書データの注意点と分析手法

  • ・過去60日間の売買記録が必ずしも掲載されていないため、基本開示日ベースで記録
  • ・月次で集計しているため、月内で反対売買が行われた場合、実現損益が発生しない計算となる場合がある
  • ・大量保有報告書のデータには間違いが散見される
  • ・報告時に機関投資家特例を利用している場合があり、その場合は取得資金の開示がないため、当該月末株価を取得簿価としている。買い増ししていった場合は、可能な限り比例配分でフォローしているが完全ではない。その後保有目的変更や10%超になった場合は取得資金が開示となるため、過去の簿価をさかのぼって修正している
  • ・パートナーシップ等から持分を引き継いだような場合、株式移転や交換で取得した場合で引継ぎ資産が取得資金に加算されていないケースがあるので、ベストエフォートで想定しているか開示通りの取得資金で計算している
  • ・新株予約権が含まれると正確な簿価の計算が困難なため、新株予約権分の株数は簿価の計算上除外しているため、株式の簿価単価が実態よりも高く表示されているケースがある
  • ・売買記録がある場合は、可能な限り益出し、損出しについては反映させているが、完全ではない
  • ・含み益(含み損)状態の時に簿価だけが不自然に上昇(下降)し、過去60日間の売買記録がない場合は、簿価が上昇した月で益出し(損出し)が行われたものと判断している
  • ・ファンドによっては借株を利用したいわゆるエンプティボーティングの手法を取っている場合もあり、その際には簿価の計算上、借株分は保有株数から除外している(代表例:OASIS)。しかし、借株分も含めて評価損益/売買損益/配当金額が表示されているので、実態よりも過大にこれら損益が表示されている場合がある
  • ・ルール上取得資金はいわゆる簿価となっているにもかかわらず、ファンドの中には(OASIS他)開示する取得資金は直前の取得資金から売却総額を除く計算をしているため、益を出して売却すると簿価単価がどんどん下がってしまうことに注意
  • ・企業の発行済株式数は直近の数字を使用している。株式分割等については簿価修正しているが、株式消却等があり株式数が変動する場合は過去の実現益や評価損益、受取配当額で若干の誤差は生じる結果となっている
  • ・企業の合併等で著しく発行済株数が増加する場合には新たな株数を合併時から採用している
  • ・保有比率が5%を切った場合は、その後6か月にわたって同率ずつ売却を進め、EXITしたものと想定しているが、その後再度大量保有報告書が開示された場合には、最後の訂正報告書の保有比率が続いたと修正している
  • ・配当は基準日の3か月後に支払われたと仮定している