私が米国で不動産関連業務に携わっていたころ、ちょうど日本でJREITが始まる頃でした。私がウォール街で不動産業務に携わる唯一の日本人だったこともあり、REIT先進国の米国の市場調査に来られるお役人や不動産関係者が数多くお見えになりました。日本の大手不動産会社は開発後の物件を持ち続け、賃貸収益が利益の大半を占めるケースが多いため、法人税を支払っているREITのようなものだと当時私は考えておりました。そのため、不動産会社がREITを設立すると、片や法人税の支払い後に配当する会社、片や法人税を支払わないREITということで、両者の両立は難しいのではないか、と考えておりました。しかし、JREITは独自の進化を遂げ、不動産会社が開発を担い、REITが保有を手掛けるという両立を成し遂げました。また、日本のREITは事実上開発が難しいので、リスクの高い再開発にあたっては一旦不動産会社に売り戻し、そこで再開発を行う等という芸当も行われています。私は業界団体の役職を長く務めましたが、JREITやその運営会社は本当に投資家目線で運営を考える素晴らしい投資対象になったと感じております。彼らは常にいかに投資口あたりの配当を増やすことができるかということで競争を行っています。物件に投資をして利益を得るまでのタイムラグがないので、一般事業会社とは異なりますが、一般事業会社の経営者も見習ってもらいたいと思っています。