金融機関は普段あまり見ていないのですが、2022年8月に村上ファンドによるジャフコグループの大量保有報告書が提出されたので、ざっとジャフコについて研究してみました。そうすると驚くべきことに、資産の約4割を野村総合研究所(NRI)の株式が占めていることを発見しました。この金額は同社の本業の営業投資有価証券の残高とほぼ同額でした。ジャフコは投資家から資金を預かって運用する立場です。それが、昔からのいきさつはあるのでしょうが、上場会社で多くの一般株主が存在する中、業務と無関係な資産を大量に保有していることが果たして許されるのかと感じました。おまけに還元方針の中で、現金とNRI株式時価総額の合計が一定以上になったら自社株買いを行うとしていました。これにも驚きました。NRI株式を現金のように扱うのなら、現金にしなさいと誰もが思いそうです。その後すぐにジャフコは買収防衛策を導入しましたが、結局同社はNRI株式を全株売却して、得られた資金で、一度は失敗したものの最終的に村上ファンドに歩み寄った形で自社株買いを行い、買収防衛策は廃止しました。このアクションによって同社のバランスシートは正常化しました。これは、アクティビストによる極めてまっとうな事例であると感じました。