コラム ひとり言

中小規模PEファンドと大規模PEファンド

私はプライベートエクイティファンド業界(PEファンド)を担当していましたので、日本で活動するほぼすべてのPEファンドと接点がありました。投資総額で数10億円から200~300億円くらいの中小規模の会社についてはPEファンドの活躍の場面が非常に大きいと感じました。このクラスの会社の場合、そもそも経営管理上のベースができていない場合が多く、そこを正常化させるだけでも大きく売上、利益が伸びる余地があります。オーナー経営者の乱脈を止めるだけというのもありました。事業承継案件であれば、プロ経営者を送り込みますし、CFOを送るというのも効果抜群です。極めて優秀な経営者がドラスチックに経営を立て直し、生まれ変わって上場を果たすなんてこともたくさん見てきました。まさにファンドによるバリューアップです。

一方、投資金額で数1,000億円やそれ以上の大規模な会社の場合は、そう簡単にはいきません。社員数も多く、事業も多岐にわたっており、経営意思を社内にいきわたらせるのも大変です。このような大企業の案件で再上場したケースを見てまいりましたが、金融マーケット環境や製品の市場サイクルによる好機をつかんで、財務レバレッジを高めただけでファンドがEXITしたようなものもありました。このようなケースは”レバレッジプレー”と呼ばれておりました。そういう意味で2023年にTOBが行われ、非上場化された東芝の今後には注目しております。